学校長あいさつ

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 3月に本校を巣立っていった卒業生49名は、進学・就職と進路先を決定し、それぞれの道を力強く歩み始めています。

 本校は今年度、創立30周年を迎えます。

 節目の年を前に、教職員、同窓会・PTA、学校運営協議会の皆さんと話し合いを重ねてきました。「この10年の教育活動をしっかり讃えよう」という声とともに、最終的には記念式典や祝賀会に大きく投資するよりも、今この学校に通う生徒たちの学び、そしてこれから入学してくる生徒たちの未来に投資しようという方向でまとまりつつあります。30年という歴史の重みを、生きた学びの場に変えていこうという、学校に関わる皆さんの思いが結集した選択です。

 学校規模は縮小傾向にあります。それは数字の上では小さくなることかもしれませんが、一人ひとりの生徒と向き合える時間と余白が生まれるとも捉えています。規模が小さいからこそできる教育の質を、教職員が日々の実践の中で丁寧に積み上げています。

 昨年度より、本校独自の探究学習プログラム「Voyage Clair(ボヤージ・クレール)」を導入しました。今年度は2年目となります。「出発」と「明るさ・透明さ」を意味するこの名のとおり、まず自分自身を深く見つめる内省を土台に置き、そこから少しずつ社会へと問いを広げていくプログラムです。完成した仕組みを一斉に展開するというよりも、実践しながら改善していくことを大切にしています。焦らず、しかし確かな手応えを感じながら、進めていきたいと思っています。

 キャリア教育にも力を入れています。校内での進路説明会やインターンシップを複数回実施し、生徒が自分の将来を具体的にイメージできる機会を積み重ねています。「将来のことを考える」という行為が、どこか遠い話ではなく、今の自分の学びと地続きであると感じてもらえるよう、丁寧に場を設けています。

 令和6年に移設された図書館が、今年度リニューアルオープンを迎えます。この取組を牽引しているのは、図書局の生徒たちです。「サードプレイス」として、また「探究的な学びのステーション」として図書館を育てようと、生徒自身が構想し、動いています。誰かに与えられた場所ではなく、自分たちがつくった場所——そこに、この学校らしさが宿ると感じています。

 サン=テグジュペリの『星の王子さま』の終盤に、こんな場面があります。
 王子さまが地球を去るとき、パイロットである「ぼく」に向かってこう言います。
「ぼくは星の中の一つに住む。ぼくはその星の中の一つで笑う。だから夜、きみが空を見上げると、すべての星が笑っているように見えるだろう。きみだけが、笑い方を知っている星を持つことになる。」

 この言葉には、姿が見えなくなっても存在は消えないこと、大切なものは目ではなく心で感じるものであること、そして「きみだけの星」という、一人ひとりに固有の輝きがあるというテーマが、静かに、しかし力強く込められています。

 物語のもう一つの名場面で、キツネは王子さまにこう打ち明けます。
「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。大切なものは、目に見えないんだよ。」
 これは、どれほど遠く離れていても、どれほど時間が経っても、心が結びついていれば消えないものがあるという、人間の根源的な力への信頼だと思います。

 目には見えなくても、たしかにそこにある何か。星の光のように、時を越えて届く何か。生徒たちはその輝きを感じながら、それぞれの日常の中へと歩み出していきます。
 生徒たち一人ひとりが、夜空の星のように自分だけの光を見つけ、様々な経験を通してその輝きを育み、未来に向けて力強く歩んでいけるような3年間の豊かな環境を創造したいと思います。

 学校生活が生徒たちの心の滋養となるように、教職員一同が今年度も全力でサポートしてまいります。

令和8年4月1日 北海道札幌白陵高等学校長 渋 谷   圭